- 宅建ってどれくらい難しいの?
- 最近、難化したって噂は本当?
不動産資格の中でも特に人気の「宅建」。
2022年人気資格ランキング(TAC)では第3位に選ばれるほど今注目を浴びている資格です。
そんな人気資格「宅建」の難易度は実際どれくらいなのか、気になる人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、近年の合格率や筆者の受験経験をもとに宅建の難易度について解説していきたいと思います。
結論から言うと、以下のとおりです。
- 他の国家資格や不動産資格と比較すると、難易度は「標準」
- 年々難化しているので、受験すると決めたらなるべく早く合格できるように努力すべき
- より確実に合格を目指すなら通信講座がおすすめ
宅建試験における合格率は?(一般受験生|5問免除対象者)
全体の合格率
表を見ると分かるとおり、宅建試験の合格率はおおよそ15%~17%で推移していることがわかります。
合格点は31点~38点と7割前後になっており、少し幅があるのが特徴的な試験です。
実施年度 | 全体合格率(%) | 一般受験者 合格率(%) | 5問免除者 合格率(%) | 合格点 (5問免除者合格点) |
---|---|---|---|---|
2015年 | 15.4 | 14.1 | 20.2 | 31 (26) |
2016年 | 15.4 | 14.1 | 20.0 | 35 (30) |
2017年 | 15.6 | 14.3 | 19.9 | 35 (30) |
2018年 | 15.6 | 14.1 | 20.6 | 37 (32) |
2019年 | 17.0 | 15.2 | 22.9 | 35 (30) |
2020年10月 | 17.6 | 16.9 | 19.6 | 38 (33) |
2020年12月 | 13.1 | 13.1 | 10.7 | 36 (31) |
2021年10月 | 17.9 | 16.9 | 21.3 | 34 (29) |
2021年12月 | 15.6 | 15.6 | ー | 34 (29) |
というのも、宅建は「何点取れば合格!」という絶対評価の試験ではないんですね。
そのため、問題の難易度や受験生のレベルによって毎年合格点が変動してしまうのです。
私が受験したときの2020年度は合格点が38点の年だったんですが、ネットでは合格発表前に「40点が合格点になるんじゃないか?」と噂されるほどでした。
ひと昔前までは35点取れれば合格と言われていましたが、近年は受験生のレベルも上がってきています。今後は、より上を目指した対策が重要です。
5問免除者の合格率
また、5問免除者の合格率も気になるところ。
5問免除者の合格率はおおよそ20%で前後しており、一般受験生よりも約5%ほど高い結果になっています。
5問免除者は『はじめから5点得点している状態』でスタートするので、ずるい!と思う方もいるかもしれませんが、
- 1~2万円ほど費用がかかる
- 試験時間が10分短くなる
- 対象者がかなり限られている
といったデメリットもあります。そのため、対象者であっても5問免除を受けない人もいるようです。
私なら2万払ってでも5点ほしいと思うので、ここらへんの感覚は人それぞれ違うのかも。
ちなみに5問免除者が免除される問題は問46~問50ですが、この5問は比較的短時間の勉強で点を取りやすい分野です。
そのため、一般受験生が気にしすぎる必要はないかなという印象です。
宅建の難易度を他の資格と比較してみたら○○だった
では、宅建試験はどれくらいの難易度なのでしょうか。
宅建は国家資格なので、中途半端な勉強では不合格になってしまいます。
そのため特に初学者にとっては難しいと感じる人も多く、決して簡単とは言えません。
しかし宅建試験自体は、他の国家資格や不動産系の資格と比較すると「標準的な難易度」という位置付けなっているのが現状です。
司法書士 | 約3% |
社会保険労務士 | 約6% |
弁理士 | 約7% |
マンション管理士 | 約8% |
行政書士 | 約10% |
宅建士 | 約15% |
管理業務主任者 | 約20% |
賃金業務取扱主任者 | 約30% |
賃貸不動産経営管理士 | 約40% |
黒字の部分は宅建以外の不動産資格です。
このように国家資格・不動産資格全体で見るとやや易しめの試験ですが、不動産資格のみに焦点を当てるとマンション管理士の次に難しい試験となっています。そのため、全体を通してみると標準的な難易度の資格と言えます。
つまり、宅建は「中途半端に勉強しても不合格になりやすいが、しっかり勉強・対策をすれば十分合格可能な資格」なんです。
宅建の合格率が低い理由
では、宅建はなぜこんなに合格率が低いのでしょうか。
その原因としては、以下の3つが挙げられます。
- 誰でも受験できる
- 新人社員が入社早々に受験させられる
- 不動産業に従事していない人にはイメージしづらい
誰でも受験できる
宅建には受験資格というものがありません。
つまり、誰でも受験できるのです。
これがどういうことかというと、「勉強せずに受験する人」や「勉強が中途半端なまま受験する人」も多いということ。
宅建は国家資格ですし、今や人気資格の1つです。
そのため「人気の資格らしいし、とりあえず受けてみようかな?」「あやふやなとこ多いけど大丈夫でしょ」という人が一定数います。
しかし、宅建試験は合格率を見ても「とりあえず」「よく勉強もせずに」合格できるような試験ではないことは明らか。
このことが合格率を下げる1つの要因になっています。
新人社員が入社早々に受験させられる
一般に、不動産業の場合は『ひとつの事務所において業務に従事する人が5人に1人以上は宅地建物取引士』でなければなりません。
つまり、不動産業を継続して営むためには宅建士を十分に確保しておく必要があります。
不動産業の新人社員は入社早々に受験勉強をさせられるケースも多く、十分な学習ができないまま試験に臨むこともあるのが現状。
そのため、結果的に合格率が下がってしまうのです。
不動産業に従事していない人にはイメージしづらい
宅建というと、不動産業に従事している人が多いイメージを持たれる方もいるかもしれません。
しかし、実際の受験者層は不動産業が全体の3割で、他の7割は不動産とは関係ない職種なんです。
宅建の試験内容は、不動産業でないとなかなか内容がイメージしづらいものも多いです。
聞き慣れない専門用語に戸惑って学習が進まない人が一定数いるのもひとつの要因になっています。
近年、宅建試験が難化したって本当?
ここまで宅建の合格率や難易度について詳しく解説してきました。
ところで、宅建試験の難易度は近年上がってきていると言われているのは皆さんご存知でしょうか。
この意見については、私もおおむね同意です。
その理由は大きく分けて2つ。
- 個数問題の増加
- インターネット教材の普及
ひとつずつ詳しく解説していきます。
個数問題の増加
平成24年以降、いわゆる「個数問題」が増加傾向になっています。これが難化したと言われるひとつの要因と言っても過言ではありません。
個数問題は「正しいものはいくつあるか?」「誤っているものはいくつあるか?」といった形式の問題です。
これらは4択択一の問題と違って消去法で答えることができないので、勘で当てることが難しくなります。
近年だと、平均5問程度は出題されています。
なお、個数問題が多い年は合格点が低く、個数問題が少ない年は合格点が上がる傾向にあります。
インターネット教材の普及
これは、私が受験したときに体感したことでもあります。
ひと昔前まではスクールしか持っていなかった宅建のノウハウが、現在はインターネットで誰でも見れるようになりました。
特にYouTubeの影響が大きいですね。
近年はコロナ禍でテレワークや外出自粛をする人も多いため、日々の学習にYouTubeを取り入れる受験生がかなり増加しました。
そのため、受験生のレベルは以前よりも格段に上がってきています。
宅建は合格率を基準とした「相対評価」の試験です。
受験生のレベルが上がるということは、必然的に試験難易度も上がってしまいます。
***
このように、宅建試験は「個数問題での増加」と「ネット教材の普及化」により難易度は増してきています。
ひと昔前のように易化するとは考えられないので、受験すると決めたらなるべく早く勉強を開始すべきです。
宅建の合格に必要な勉強時間
『難化しているのは分かったけど、じゃあどれくらい勉強したらいいの?』と言いますと、宅建合格に必要な勉強時間は約300時間です。
1日2時間だと5ヶ月、3時間なら3ヶ月半で到達できることになります。
ただし、初学者や法律の勉強が初めてという場合は400~500時間は見ておいたほうが無難です。
宅建の勉強時間については、こちらの記事に詳しくまとめてありますので気になった方はご覧ください。
主婦や学生の合格率は?
実は、主婦や学生の合格率は全体的に見ても高い水準なんです。
こちら不動産適正取引推進機構が出している令和元年度のデータをもとに作成したグラフですが、主婦の合格率は21.3%、学生の合格率は18.3%となっています。
これは不動産業に従事している人の17.8%よりも高い数字です。
主婦や学生のように、不動産に従事していない人でもしっかり対策すれば合格できるということが分かりますね。
独学の合格率は?
独学生の合格率自体は、統計がないため不明です。
そのため私見にはなりますが、宅建試験に独学で挑む場合の難易度は合格率で表すとおおむね10%前後(もしくはそれ以下)と考えられます。
というのも、全体の合格率は15%~17%なのに対しスクール生(通信・通学講座)の合格率が圧倒的に高いからです。
合格率を公表しているスクールは以下のとおり。
フォーサイト:82%
アガルート:43.7%
LEC:71.3%(※模試で正答率60%以上の方をもとに集計しているため注意)
LECは合格率の算出方法が特殊なので一旦置いておくとして、特にフォーサイトの受講生は82%と驚異の合格率です。
独学性はこういったスクール生よりも圧倒的に不利な状況下で戦わなければなりません。そのため、必然的に難易度は高くなってしまいます。
逆に言えば、スクール生の合格率は全体の合格率よりも高い傾向にあるため、より確実に合格を目指すなら通信講座や通学講座がオススメです。
まとめ
今回は宅建の難易度について、いろんな角度から解説してきました。
この記事の要点をまとめると以下のとおりです。
- 他の国家資格や不動産資格と比較すると、難易度は「標準」
- 年々難化しているので、受験すると決めたらなるべく早く合格できるように努力すべき
- より確実に合格を目指すなら通信講座がおすすめ
宅建の難易度は標準的と言えど、誰もが合格できるような簡単な試験ではありません。
ですが、しっかりと対策・勉強をすれば誰でも合格を目指すことは可能です。
受験すると決めたら、なるべく早く勉強を開始して着実にゴールを目指して頑張っていきましょう。
ほなまた!